磁器土をろくろで一つ一つ成形した一ツ松の急須は、すっきりと無駄のないフォルムが特徴。
中をのぞくと面の広い茶漉しにまず目がいく。
この茶こしにより最後の一滴までストレスなくお茶が出るようになっており、口を膨らますことなく上品でスッとした形にすることを可能にしている。
茶漉しは外から付けるより、中から付けるほうがはるかに難しい。
茶漉しを外から付けるには胴体に穴を開け、茶漉しを押しいれるように付けるが、大きな茶漉しを付けようとすると急須の口の周りもどうしても大きくなってしまう。
中から茶漉しを付けることにより、茶漉しを大きいものにしつつも口は小さくすることができるが、こういった広い面の茶こしを中から付けようとすると茶こしを一度折り曲げて再び広げなければならず難易度がさらに上がり、廃棄処分になる急須も少なくないそう。
紋様は“和紙染め”と“吹き付け”という技法を主に使う。
“和紙染め”とは和紙をモチーフの形に切り取り、素焼きの作品に貼り付け、顔料を染み込ませることで絵付をする技法。
一ツ松は動物や昆虫などのモチーフをピンセットを使わなければならないほどの細かいパーツに分け緻密な紋様を作り上げ、それぞれのパーツの色を重ねることで多彩な色を表現していく。
“吹き付け”は作品にテープを貼り、その上からスプレーで顔料を吹き付け乾いたらテープを外し紋様を浮かび上がらせる。
1983年に常滑市にほど近い東浦町で生まれる。
2015年から2年間、とこなめ陶の森 陶芸研究所で陶磁器の勉強をする。
もともと急須を作る気はなかったが研修の一環として急須づくりを習い、その面白さに目覚める。
「常滑で作るからには紋様にこだわるだけではなく、急須づくり自体に対しても真剣に向き合っています。急須は難しいからこそ面白い。一生挑戦できるかなと思います。」
1983年 生まれる
2003年 中部大学応用生物学学部環境科学学科中退
2004年 ウロウロ
2010年 も少しウロウロ
2015年 とこなめ陶の森 陶芸研究所入所
2017年 とこなめ陶の森 陶芸研究所修了
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