吉川雪堂

常滑を代表するロクロ師。

 

これほど精巧な急須(茶壷)を作る職人は常滑には彼以外にいないであろう。遠くからわざわざ彼の急須を求めて常滑に来る人も多いのも頷ける。

 

一見無地で普通の急須。しかしこれがすごい急須なのである。

一般的な急須は近づいてよく見ると僅かな線や凹凸がある。

だが雪堂の急須にはそれが一切ない。完全なまでの滑らかさ。

この技を持つ人間は日本全国を探しても他にはまずいないのだろう。

 

彼の急須のもう一つの特徴は茶濾しだ。一ミリにも満たない板状の粘土を半球状にして500、そして大きい急須になると1000個近い穴を開ける。この技もまた常滑では雪堂だけである。

 

これらの技術は決して派手ではないが、現代の機械でもなしえない、彼だけの技である。

 

父はロクロ師の初代雪堂。

兄は彫師の吉川壺堂。雪道が作るほぼ全ての急須は兄が彫りを入れるが、彫りを入れない急須もごくわずかにある。

 

「茶漉は500くらい穴を開けますが、495まであけた後の最後の5個くらいが大変です。 柔らかい粘土が手の熱でだんだん固まってきて最後の数個の穴を開ける時に、他の穴と穴の間にヒビが入りやすくなります。さらにそれを急須本体の注ぎ口の穴に付けるのですが、穴の中心にうまく一発でつけないといけません。なぜなら、一度少しでも茶こしを本体にくっつけるとその後ずらすときに茶こしが変形してヒビが入るからです。急須ひとつ作るにも各パーツを3個くらい用意してなくてはいけないからとても大変なんです。」と作り手にしかわからない苦労を語る。

 

雪道は最後の最後まで手を抜かない。艶をだすために急須を磨きあげるのである。「今時こんなことをやる人はもういないですよ。これをやっても値段は上がらないから他の人はやらないんですよ。 だけどぼくはやらないと気がすまないというか、もう意地ですね(笑)。」

 

なかなか気づかないこれら作家の苦労。すごい技術が詰まっているこの急須は、正真正銘のプロの作品なのである。




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