水野陽景

 

水野陽景が作る急須は繊細で美しい。

急須はとても軽く、口は細く短く、また手も短いのが特徴である。

「急須は使いやすいのはもちろんですが、目で楽しめて、鑑賞に耐えうるものでなくてはいけない。特に全体のバランスを大切にしています。」 

 

陽景は急須の表面にわざと割れをつくり、ざらざらとさせる “南蛮”の名手でもある。

通常は外側と内側にそれぞれ手を添えてろくろを回し、急須の形を引くのだが、南蛮の場合は内側のみに手を当て、それを外に押し出すように急須の形に膨らませる。外側には手をそえないので、肌は内から外に押され、表面は割れてざらざらとなる。

 

南蛮にはそれに合うよう考え抜かれた専用の土を使用する。

特殊な技術、豊富な経験、そして手間が必要なので作る人が極めて少ない。焼物の街常滑であっても数少ない。

陽景は若い頃に一度挑戦したが失敗。

その後蓄積された技術をもって再挑戦し、南蛮の制作にようやく成功した。

「普通のものと比べて、南蛮は3倍以上の時間がかかります。失敗も多くなるし、とても手間がかかるものだから誰も作りたがらないんですよ(笑)。 」

 

1956年常滑生まれ

父親も急須職人

小学校の頃から、急須の彫に炭を入れたり、急須を磨くなどの手伝いをしていた。

これを一生の仕事にしようとは思っていなかったが、小さい頃からの焼物に慣れ親しんだことと、父にうまくのせられたこともあり、瀬戸にある窯業高校に入学。

高校で釉薬の勉強をはじめ、焼物に対する深い知識を持ち始めたころにその面白味がようやくわかったという。

卒業後父がなくなるまでの間、二十年ほど一緒に焼物を作ってきたが、一般的な作品を多く手がけていた父より常々“おまえはいい急須を作れ”と言われていた。

 

美しいフォルムの急須に南蛮の肌が組み合わさると、美しさがさらに映える。

クラシック音楽を愛する陽景は工房でもクラシック音楽をかけて作品を作る。

今はショパンのノクターンをかけているそう。

常に“美”を追求する陽景の工房から、美しい急須が続々と生まれている。


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