
轆轤の引き跡をあえて残した白磁の生地。
その上に緑がかった半透明の釉薬が垂れ、所々翡翠のような濃い緑や、柔らかな紫が混ざる。これが熊本象の代表作“緑彩”だ。
磁器がメインだが、作風のバリエーションは実に豊富。
九州の佐賀県唐津市に窯を構えつつも唐津焼というジャンルにとらわれず独自の創作をしている。
“磁器でありながら、釉薬が流れ、地元唐津焼のような陶器の風合い、質感を表現するのが私の作品の特徴です”と熊本象。
茶器、食器、花器などを主に作るが、共通しているのはその上品さと繊細さ。
特に薄くて軽いティーポットは定評がある。
形はその時のイマジネーションで作るので一点一点異なってくる。釉薬、柄も表情が異なるため、出来上がった作品はまさに貴重な一品限りのもの。
1977年佐賀県唐津市に生まれる。
父親は陶芸家の熊本千治。
陶器の街唐津で育ち、陶芸家を父に持ちながら、子供の頃は陶器にはまったく興味がなかったという。
音楽にのめり込み、ミュージシャンを目指した時もあったが、25歳の時に父親の仕事に興味を持ち始める。
実際には父から手ほどきを受けることはなく、有田の窯業学校で焼き物を学び、卒業後地元唐津の陶芸家、岡晋吾氏のもとで三年間修業をした。
そこで日本の様々な様式の陶磁器を作ったが、特に磁器が多く、その経験が今につながっている。
独立は2010年と最近だが、すでに多くのファンがついている。
「修業時代にいろいろな釉薬を試しました。そこで色々とおもしろい組み合わせを試して見つけた事が、今の作品に生きています。」
機能的で実用性もありながらも“鑑賞にも耐えうる美しい作品作り”を一番大事にしていると語る。
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