原田拾六


言わずと知れた現代備前焼の巨匠。

乱張、縄目、ダイナミックな鎬(しのぎ)、太閤石などの作風は独特で、一見して原田拾六の作品だとわかる。

 

農業をやろうと明治大学農学部に進学。1964年に卒業。

東京の食品会社にて3年ほど働くが、東京の生活になじめず、帰郷することに。

 

“備前でできることはやきものしかない”と思い陶芸をやり始めたが、家を手伝い、生活をしなくてはならなかったので師匠につく余裕はなかったという。

それにもかかわらず、これまで技術的に困ったことは一切なかったというから驚きである。

 

「伊部の町では焼き物をしている家庭は多くありました。伊部の町を歩けば至るところで焼き物を作っていたし、友達のうちにいってもやはり焼き物を作っていた。師匠から習わなくとも何をすればいいのか大体わかっていました。」と、語る。このあたりの感覚の鋭さが、“鬼才”が鬼才と呼ばれる由縁。師匠につくことがなかったことも、逆に言えば縛られない自由奔放なアイディアが生まれる土壌になったとも言えるのかもしれない。

 

30代になると窯跡を歩き回り、古備前の陶片を見て研究を始める。

還暦(60)を過ぎた頃から原田氏らしい独創的な作風が完成していく。

「40代からアイディアを温めはいましたが、なかなか始められなくて…。試しても失敗も多かったんです。」 

直接指導する陶芸の師匠はいなかったが、原田氏にとっては古備前の歴史や伝統、備前の町自体が『師』であったということだろう。

 

ほとんどの作品が手びねりか紐作り。

「作っていて気持ちが入りやすい」と原田氏はいう。

 

1941年 岡山県瀬戸内市長船町に生まれる

1964 明治大学農学部農産製造学科卒業

1974年 各地の画廊・デパートにて個展を始める

1978年以降個展による発表を主体とする

       日本橋三越本店・各店にて個展を重ねる

       阪神・小田急本店美術画廊にて個展を重ねる

       岩田屋・井筒屋本店美術画廊個展

       天満屋本店美術画廊個展

1983年 オーストリア国立民族博物館にて二人展

 

1979年 主婦の友社刊「窯別現代茶陶大観」に選出される

1993年 京都書院刊「陶」シリーズに選出され作品集出版される

1997年 同朋舎刊「陶21」に選出される

2002年 日本放送出版協会刊「茶陶 歴史と現代作家101人」に選出される

 

2000年 日本陶磁協会賞受賞

2002年 岐阜県現代陶芸美術館開館企画展「日本陶芸の展開」出品

2003年 東京都庭園美術館企画展現代日本の陶芸「受容と発信」出品

2004年 茨城県立陶芸美術館企画展備前焼の魅力「伝統と創造」出品

2013年 東広島市立美術館「渋みの世界」出品

 

アートコレクション:

メトロポリタン美術館

岐阜県現代陶芸美術館

ニューオリンズミュージアムオブアート

東広島市立美術館

韮崎大村美術館

ボストン美術館、他



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