商品概要
商品名 | 丹波焼 ぐいのみ |
作家 | 清水剛 |
生産地 | 兵庫県丹波篠山 |
サイズ | 高 5.5cm * 直径 6.2-6.4cm |
満容量 | 約 90-100ml |
素材 | 陶器 |
備考 | 桐箱 |
ご注意点
表示の容量は【満注内容量】です。
水を縁までギリギリ満タンに入れた場合の内容量を示しています(蓋のある場合は蓋を受けるところまで)。
実際に使用される場合のお湯の量は少なくなります。
丹波焼の陶芸作家・清水剛の代表的な技法は『刻紋』と『塩窯』である。
まず“刻紋”だが、絶妙な色のグラデーションをおびた美しい表面に、細かな筋が無数に刻みこまれた技法である。単に筋を刻んでいるのではない。立体的な表情をだすために線を刻み込んだのち、山となる部分にスポンジでやさしく泥を盛り、立体感を強調させたうえで丁寧にヘラを使い固める。こんな作業を何度もくり返し、更に谷の部分に色の異なった土を流し込む。
「こんな面倒な作業、他の人はやりたがらないと思いますよ(笑)」と語るほど手間がかかる技法なのだ。
次に『“塩窯”』。薪窯に放り込まれた塩が化学変化でガラス質へと変化し、コバルト成分と反応することにより、海のような深く鮮やかで透明な青をまとう 。
塩窯は16世紀のドイツで始まったとされており、戦後に丹波に伝わった。現在の丹波で塩窯をやる人は清水剛一人であり、日本全体でも数えるほどしかいない。
薪窯は焼成を行っている3、4日の間、つきっきりで窯の温度を管理をしなければならない。窯の温度がピークに達したとき、塩を数回に分けて放り込むのだが、そのたびに温度が下がるため、再度温度を調整する。また、塩が表面に付着することで青みが出るのであるが、窯の外から放り込まれた塩が窯の中におかれた全ての作品に均等に掛かる訳ではないために青が綺麗に出るのはある一定量だけだ。
また、塩窯を焼成する窯は痛みが激しく寿命が短い。「高温の塩が冷えるとガラス質になり窯の中の至る所にへばりつくんです。火が通る穴の中まで入り込み、火の通り道を狭くするため、窯の中の床が徐々に沈下して、ある時、それが原因で焼成中の窯の天井がくずれたこともありました。窯のメンテナンスが一般的な薪窯よりもはるかに大変なんです。」と綺麗な青の裏にある苦労を語る。
「塩窯の青はとても自然で鮮やかな青です。透明感や深みがあり、青の濃淡を表現できる。薪と塩の力で白、グレー、茶色、緑など多様な色も加わっておもしろい雰囲気を出す。塩窯の青は表情が豊かなんですよ。」
大変な苦労をしても尚、塩窯にこだわる清水の理由はここにある。
1975年、兵庫県丹波立杭に陶芸作家の長男として生まれる。しかしながら子供のころから焼物にさほど興味がなく、親の仕事を手伝うことはほとんどなかった。
大学は京都市立芸術大学の工芸科に進学。卒業して面象嵌の第一人者で世界的にも知られる巨匠・今井政之氏の弟子となる。象嵌とは刻み込まれた模様に別の土を嵌めこんでいく技法。それぞれの土の焼成時の収縮率が違うため、これを計算しないと隙間やひびができてしまう。線の象嵌を行う人は多いが、面でパズルのように象嵌する技を世界で初めて成功させたのが今井政之氏だ。
「細かい作業を積み重ね、徹底的に作品を仕上げていくことを今井氏から教わりました。この経験が現在の自分の代表的な技法、刻紋に活きているのだと思います。」
6年の修業を終え、2005年30歳で独立。そこから“自分の個性と丹波焼とのつながり”をテーマに自分の代表的な技法の確立への模索がはじまった。
刻紋は室町時代中期(14世紀あたり)に作られた古丹波によく見られる猫がひっかいたような跡から名づけられた猫搔紋(ねこかきもん)をヒントにしている。猫搔紋は単に筋をひいているだけだが、清水の刻紋はそれをさらに立体的に発展させた。
塩窯は,独立してから3年くらいたったころ薪窯を始めようと思っていたころ、丹波で民芸運動がきっかけで始まった塩窯に目を付けた。清水の一番好きな色は青、こういったところから塩窯をはじめることを決めた。
「江戸時代の古丹波を自分なりの表現で作ろうと思っているんです」と新たな創作意欲を燃やす。代表的な2つの作風以外にも薪窯を使いこなす清水ならではの、多様で秀逸な作品が多いので、こちらも注目だ。
略歴
1975年 兵庫県丹波立杭に生まれる
1999年 京都市立芸術大学工芸科陶磁器専攻卒業
陶芸家、今井政之、眞正氏に師事
2005年 兵庫陶芸美術館に勤務(~2012年)
主な展覧会・公募展
2008年 酒の器展(金津政策の森、福井)
2009年 伊丹大酒器祭(伊丹市立工芸センター、兵庫)
Kobe Art Marche (クラウンプラザ神戸、兵庫 ~2015年)
2010年 ビエンナーレKUMAMOTO FINAL(熊本県立美術館)
2011年 十人十色展(ギャラリー緑陶里、栃木 以後2013年)
2012年 京都府美術工芸新鋭展・京都美術工芸ビエンナーレ
(京都文化美術館)
陶のあかり展(神戸らんぷミュージアム、兵庫)
2013年 第22回日本陶芸展 入選('11)
現在形の陶芸 萩大賞展Ⅲ 入選
2014年 第7回現代茶陶展 入選
Gwangju Biennale(光州広域市、韓国)
古窯新藝丹波燒三人聯展(DecoPlay造居,台灣)
2015年 外務省派遣事業によりカナダにて講演、ワークショップ行う
第21回庄六賞茶盌展 入選
第32回茶の湯の造形展 入選(田部美術館、島根)
神戸ビエンナーレ2015現代陶芸展 入選(’07, ‘13)
以美為用展(京都高島屋美術画廊)
2016年 第22回美濃茶盌展 入選
Exhibition of crafts from UCCN in the field of
Crafts & Folk Art(利川世界陶磁センター、韓国)
日・韓学術シンポジウムにて講演
(金海粉青陶瓷館、韓国)
受賞
2009年 第55回 全関西美術展(大阪市立美術館) 佳作
神戸ビエンナーレ2009現代陶芸展
(神戸メリケンパーク、兵庫)奨励賞
2010年 現在形の陶芸 萩大賞展2010(山口県立萩美術館、浦上記念館)
2011年 第57回 全関西美術展(大阪市立美術館) 佳作
神戸ビエンナーレ2011現代陶芸展(兵庫陶芸美術館)奨励賞